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昔から、赤ちゃんを生むと歯が悪くなると言われています。
「赤ちゃんが、お母さんのカルシウムを奪うから」というのです。本当でしょうか?
赤ちゃんができると、女性の体は、外見はもちろん目に見えないホルモンのバランスも大きく変わります。唾液の分泌量が減り、酸性度が高まって、口の中はネバネバしてきます。汚れがくっつきやすい状態になるのです。
また、つわりの時期が過ぎれば食欲の増加とともに、食べ物を口にする機会も多くなります。口の中はムシ歯や歯周病になりやすい条件が重なります。その結果ムシ歯になりやすくなるのです。妊娠中に歯が悪くなるのは、決して赤ちゃんのせいではなく、歯や口の病気が始まるのは、お母さん側に原因があります。昔から、赤ちゃんを生むと歯が悪くなると言われています。
お母さんが育てる赤ちゃんの歯
赤ちゃんの歯は、お母さんのおなかにいるときに歯のもとができます。
乳歯は妊娠5週から9週、おとなの歯でも16週でできあがります。丁度つわりの時期と重なっていますから、栄養という点で歯の生育に影響が出ないか心配です。妊娠中のお母さんの状態が良くないと、生まれてきた赤ちゃんの歯に悪い影響が出ます。つわりがおさまってからでもバランスの良い食事をすれば栄養的には問題ありませんので、日々の生活に気をつけておきましょう。
幸い、妊娠中は腸からのカルシウムの吸収率が高まります。骨やアゴの発達を促すビタミンAやDと共に、歯や骨の主成分となるカルシウムを積極的にとって下さい。
こんなふうに、赤ちゃんの歯は、お母さんの健康や栄養ととても深く関わっています。そこで、ママになるあなたに歯科医としてお願いします。生まれてくる赤ちゃんのために、体が安定期を迎えたら、歯の健診を受けてムシ歯や歯ぐきの病気を治し、ふだんより丁寧にお手入れしてほしいのです。お母さんが健康な歯で栄養バランスの良い食事をしっかり噛んで食べることが、丈夫な赤ちゃんの歯を育てます。